Paul Tolのカラースキームは、色覚の多様性に配慮して設計された科学グラフ向けの配色です。
この配色は、オランダ宇宙研究所SRONが公開した技術ノートに由来します。大きな特徴は、色同士を最大限に見分けやすくする、高いコントラストを保つ、彩度を強める、多数のカテゴリーを同時に扱う、といった用途ごとにスキームが用意されていることです。目的が分かれば、適切なスキームも選びやすくなります。

色覚多様性に配慮した4つのスキーム
Bright(7色)
幅広い用途に使える基本の配色です。色の違いを十分に判別でき、完全に飽和した色ほど強い印象になりません。
| 色名 | HEX |
|---|---|
| 青 | #4477AA |
| 赤 | #EE6677 |
| 緑 | #228833 |
| 黄 | #CCBB44 |
| シアン | #66CCEE |
| 紫 | #AA3377 |
| グレー | #BBBBBB |
High Contrast(5色)
白黒印刷でも判別できる必要がある図や、色の識別が特に難しい読者を想定した図に向いています。黒と白が両端に含まれます。
| 色名 | HEX |
|---|---|
| 黒 | #000000 |
| 青 | #004488 |
| 赤 | #BB5566 |
| 黄 | #DDAA33 |
| 白 | #FFFFFF |
Vibrant(7色)
Brightより彩度が高い配色です。細い線、小さなマーカー、離れた位置から見るプレゼンテーションスライドに適しています。
| 色名 | HEX |
|---|---|
| オレンジ | #EE7733 |
| 青 | #0077BB |
| シアン | #33BBEE |
| マゼンタ | #EE3377 |
| 赤 | #CC3311 |
| ティール | #009988 |
| グレー | #BBBBBB |
Muted(10色)
ここで紹介する中では、色覚多様性に配慮しながら最も多くの色を使えるセットです。彩度が低いため、情報量の多い図でも落ち着いて見えます。薄いグレーは欠損値や除外データ用に確保されています。
| 色名 | HEX |
|---|---|
| ローズ | #CC6677 |
| インディゴ | #332288 |
| サンド | #DDCC77 |
| 緑 | #117733 |
| シアン | #88CCEE |
| ワイン | #882255 |
| ティール | #44AA99 |
| オリーブ | #999933 |
| 紫 | #AA4499 |
| 薄いグレー | #DDDDDD |
用途に合うスキームの選び方
| 図の特徴 | 適したスキーム | 理由 |
|---|---|---|
| 3〜7系列の標準的なグラフ | Bright | 刺激が強すぎず、系列をバランスよく見分けられる |
| 白黒で印刷する | High Contrast | 明度差を重視し、黒と白も含まれる |
| 細い線を使う、または投影する | Vibrant | 距離がある場合や投影品質が低い場合も彩度を保ちやすい |
| 8〜10カテゴリーが密集している | Muted | 最も多くの色を安全に使え、低い彩度で煩雑さを抑えられる |
#DDDDDDは、欠損、除外、該当なしのデータ用です。通常のカテゴリー色に使うと、この便利な合図が失われます。また、BrightとVibrantのグレー#BBBBBBは、残りをまとめた「その他」のカテゴリーに使うのが一般的です。
そのまま使えるコード
Python
TOL_BRIGHT = ["#4477AA", "#EE6677", "#228833", "#CCBB44",
"#66CCEE", "#AA3377", "#BBBBBB"]
import matplotlib as mpl
mpl.rcParams["axes.prop_cycle"] = mpl.cycler(color=TOL_BRIGHT)tol-colorsパッケージからすべてのスキームを利用できます。R
tol_bright <- c("#4477AA", "#EE6677", "#228833", "#CCBB44",
"#66CCEE", "#AA3377", "#BBBBBB")
scale_colour_manual(values = tol_bright)khromaパッケージには、scale_colour_tol()をはじめとする関連関数が用意されています。
TolとOkabe-Ito、どちらを選ぶ?
どちらも色覚多様性に配慮した定性的な配色で、多くの図ではどちらを選んでも問題ありません。実用上の違いは次のとおりです。
- Okabe-Itoは、Nature Methodsで紹介されたこともあり、生命科学で広く知られる標準配色です。査読者から使用したアクセシブルな配色を尋ねられても、名前だけで通じることが多いでしょう。
- Tolには、用途別に選べる複数のスキームがあります。Okabe-Itoが8色までなのに対し、Mutedでは10カテゴリーを扱えます。
ヒント
どのスキームを選んでも、論文中のすべての図で一貫して使いましょう。読者は読み進めながら色とグループの対応を覚えます。図ごとに同じ色を別のグループへ割り当て直すと、配色を変える利点以上に理解を妨げます。

関連記事
関連する読み物: 科学図表に最適なカラーパレット(2026年版), 科学ポスターと図に適したフォント(2026):文字サイズ.



