IMRaD は序論・方法・結果・考察の四部構成を指します。
自然科学の実証論文で主流となっているのは、この構成が論証の形そのものと一致するからです。なぜその問いが重要か、どう答えたか、何が分かったか、それが何を意味するか。テンプレートではなく論証として捉えた瞬間、セクション間の境界は恣意的でなくなります。

各セクションに何を書くか
| セクション | 答える問い | 時制 | よくある失敗 |
|---|---|---|---|
| 序論 | なぜ重要で、何が未解明か | 現在形/現在完了 | 一つの空白に収束せず網羅的に概観する |
| 方法 | 具体的に何をしたか | 過去形 | 再現に足る詳細がない |
| 結果 | 何が分かったか | 過去形 | 報告ではなく解釈を書く |
| 考察 | 何を意味し、限界は何か | 現在形 | 解釈せず結果を言い直す |
この構成は砂時計に喩えられます。序論は広く始まり具体的な問いへ収束し、方法と結果は最も具体的な「くびれ」、考察は分野への含意へと再び広がります。
最も問題になる境界
初稿で最も曖昧になるのは結果と考察の境界です。実用的な原則は次のとおりです。
- 結果はデータが示すことを報告します。「処置により腫瘍体積が対照比 42% 減少した(p = 0.003)。」
- 考察はそれが何を意味するかを説明します。「この減少は提案した機序と整合するが、効果量は異種移植モデルの報告より小さく、これは……」
結果セクションの文に「〜のため」「示唆する」「〜と考えられる」「整合する」が含まれていたら、それは考察に属します。結果と考察の統合を認める雑誌もあり、境界問題は消えますが、必要な規律はむしろ増えます。

図版はどこに置くか
図版は全体に均等に配置する装飾ではありません。セクションごとに役割が異なります。
- 序論 —— まれ。検証する模型を示す概念図を置くことがあります。
- 方法 —— ワークフロー図、実験模式図、CONSORT や PRISMA などの研究フロー。
- 結果 —— 中心。知見を担うデータ図。
- 考察 —— まれ。知見を統合する総括模型図を置くことがあります。
有用な確認法:結果の各図は特定の主張に対応し、実質的な各主張は図・表・本文中の統計量のいずれかに支えられているべきです。どの主張も支えない図は削除するか補足資料へ移します。

IMRaD が当てはまらない場合
IMRaD は独自の実証研究を前提とします。次の場合には適合しません。
- 総説論文(主題別に構成)
- 理論・方法論論文(結果が導出や検証に置き換わる)
- 症例報告(提示・検査・転帰の構成)
- 人文学および多くの数学論文(まったく異なる慣行)
方法を考察の後に置くなど順序を入れ替える分野もあります。投稿先の規定に従ってください。

ヒント
方法から書き始めましょう。最も具体的で、論証ではなく記録から書けるセクションです。方法が形になると結果の整理も進みます。序論は最後に書くのが通例です。完成して初めて、この論文が実際に埋める空白が分かるからです。
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